オパール続きます!
あ〜自分も復習になっていいな♥
今回は合成オパールについて


合成オパールって?

他の合成石、、例えば合成ルビーとか合成エメラルドと違い、合成オパールは天然オパールには含まれない物質を添加しているので、正確には模造オパールというのが正しいです。

これらの合成オパールは時々市場で見られることがあり、経験の乏しい者にとっては、非常に価値がある天然のホワイトオパールやブラックオパールのように見える。
これらの合成オパールは時々市場で見られることがあり、経験の乏しい者にとっては、非常に価値がある天然のホワイトオパールやブラックオパールのように見える。


1回目のコラムで遊色効果の生じる仕組みをお話しました。
これは走査型電子顕微鏡により、プレシャスオパールのシリカ球の配列が明らかになりました。


これによりオパールの合成が可能になり、1974年にピエールギルソンによってはじめて販売されました♥
地色がホワイト・ブラック、あとは遊色効果のあるファイアーオパール、遊色効果を示さないコモンオパールも出てきています。


オパーレッセンス?

あ、そうだ、間違えやすい光学効果でオパーレッセンスというものがあります。これはネットを見ていると、遊色効果として説明されていることがあるので要注意です。
まぎらわしいのですが、遊色効果とは全く関係ありません。
では何でしょう?

  • 定義:一部のホワイトオパールが示す、半透明で乳白色の外観のこと
  • 原因:光の散乱によるもの、ミー散乱効果

某国宝石学協会っぽくしてみました♥


合成オパールの製造

合成オパールは、ゲル成長プロセスで生産されます。
ゲル成長プロセスとは、、、
ゾル(液体状態)→ ゲル(固体状態)にするプロセスのこと♥

まぁこれが大変時間がかかるし、シリカ球の配列中は動かしたらダメ!絶対!なんとこの配列に1年以上要します。すごいな、、
でも天然オパールの形成には、1cmで約500万年!!と言われています。

私が冒頭で、正しくは模造オパールなんですと申し上げたのは合成オパールには天然オパールには含まれていない成分が入っているからです。
・アルコール
・アンモニア
これらは天然オパールにはない成分です。
この成分を添加しないと、遊色効果を示す合成オパールを作り出すことはできません。


それではいざ、、
合成オパールの製造は3つの工程があります。


シリカ球の形成

まず、非晶質シリカ球の形成をさせないと始まりませんね。
注意して、同じ大きさ、、しかも球の直径を200nm〜300nmにしなければいけません。
必要な材料は、

・水
・アンモニア
・シリカを含む化合物。

シリカを含む化合物をアルコールに溶かしたものに水を混ぜて、ゆっくりかき混ぜて反応させます。

そこからの、、


シリカ球の配列

さぁ、ここが超山場!
絶対動かしてはダメ!絶対!
しかも1年近く、もっとかも、、
揺らすと白っぽくなってしまいます。
つまりきれいに配列していないと、あの美しい遊色効果はみられないのです。
地震のときとか、どうするのかな、、
さぁ、いよいよフィニッシュ!


シリカ球の圧縮と団結

さぁ、ここで失敗することは許されません。
何しろ1年以上かけてここまできたのですから、、
宝石として使用できるようにするための最後の過程です。

苦労して配列させたシリカ球を圧縮しましょう♥
シリカ球を静水圧、、つまり全方向から等しい力でかけてシリカ球の配列が歪まないように圧縮させます。
そしてコロイド状シリカを加えて、、団結させましょう♥
コロイド状シリカは糊の役割を果たすんですね。

♥完成♥



そういえばコロイドって?

1 – 100ナノメートル (nm) 程度の微粒子が媒質中に分散している状態で、媒質が液体ならばコロイド溶液です。
なのでコロイド状シリカは、シリカが液体に分散している状態のものです♥

研究熱心なあなたへ!
身近な例でいうと、牛乳です。
実験してみましょう。


用意するもの

・無職透明のコップ
・水
・牛乳

コップにお水を入れて、牛乳を数滴垂らします。
暗くしたお部屋に置いて、ペンライトでガラス越しに当ててみましょう。
透過光は赤っぽく見えて、散乱された光は青っぽく見えます。

散乱ってなに?

さぁ、いつもの何?です。
散乱とは、その名の通り乱れて散ることです。
光波が小さな粒子に当たると光波が色々な方向に広がります。
上記の牛乳で言えば、とっても小さい微粒子が媒質中に分散している状態なので、波長の短い光(青)が微粒子にあたって散乱 → 青く見える。


以下、お得意のノート

光の散乱の図
光の散乱、、宝石って科学、、



どうやって看破するの?

そう、とても大事なことです。
天然オパールなのか、合成オパールなのか、
わかっていて購入するならば問題ありませんが、もし知らなかったならば、、
でも注意深くルーペで観察することで、違いはわかります。

天然オパールと合成オパールは、特性値が同じなので拡大検査が有効♥


識別検査① ルーペで観察
合成オパールの観察の図!

合成オパールの柱状構造の図
ひどい図、、合成オパールの柱状構造

合成オパールの看破の図
ルーペで横からと上から注意深く観察することで、看破できます。




この写真合成オパールのチキンワイヤー効果というものです。
わかりやすいですね。
でも学校のテキストでは、この名称聞いたことなかったような気がします、、

合成オパール
チキンワイヤー効果
gem-a.com/education
Chicken wire effect in synthetic opal, photographed by Pat Daly.



本当のチキンワイヤー
ほんと、似てますね、、いや似てるのかな?




ちなみに学校ではリザードスキンと習いました。

参照 https://watashitokawa.jp/__trashed-2 様より





海外サイトは資料が豊富♥

参照:https://www.opal.academy/literature/2021/5/7/template-zj9ms-b7twc-bjt75

皆様も宝石の資料でお探しになるときは、英語でググってください!
断然わかりやすく、これだ!というものにヒットします。



識別検査② UVライトで蛍光反応を見る

ホワイトオパールに関してですが、LWUV(長波紫外線)を照射すると、、
天然ホワイトオパール:緑色の燐光を示す
合成ホワイトオパール:反応しない

蛍光と燐光

さあ、いつもの何?のコーナーです!
蛍光と燐光、皆さん聞いたことありますよね。
でも定義は?と聞かれると、、なかなか答えられないですよね。

共通点:ルミネッセンスの一種、両方とも可視光の波長より高いエネルギー準位(x線、紫外線)の光が物質に照射される
              ↓
電子が励起されて、より高いいエネルギー準位へ飛び移る
              ↓
励起された電子が低いエネルギー準位に落ちる際、エネルギーを可視光という形で放出する



それでは蛍光と燐光の違いは何なのかな?

蛍光:物質が短い波長に゙照射されているときだけ
燐光:照射源を取り除いたあとも続く

燐光で思い浮かぶのは。スミソニアン博物館が所蔵しているホープダイヤモンドでしょうか。
エネルギー与えられなくても、自力で赤く発光、、すごい、、こわい、、
あ、すごい話が逸れました。
ホワイトオパールをお持ちの方は、UVペンライトで実験してみてください♥
    



京セラの合成オパール原石、とってもきれい♥
というより、柱状構造にご注目ください。
もう、宝石を見てもきれい♥とかいう感情より、仕組みは?とか、色の原因は?と思ってしまう方!
おめでとうございます。
すっかり宝石学脳ですね 笑

https://www.kyocera.co.jp/prdct/kyotoopal/material/index.html
参照:京セラ 京都オパール原石



合成オパールの良さ♥

それはなんといっても、価格面かな、、
地色が濃く、遊色効果の割合・強度・支配色の色相によりますが、ブラックオパールは希少性が高いので価格も当然高いです。
でも、合成オパールのブラックオパールであれば話は違います。
人の手でコントロール出来ますから、購入しやすい価格となりますね。


あと見た目ですが、合成石は不純物が入らないの斑がはっきりくっきり♥
スタールビーのアステリズムもピキーっとしていますよね。
これは好みですね。


次回はオパールの張り合わせと模造石♥の巻です。


宝石学っておもしろい、もっと勉強したいと思われた方♥
もっと、もっと色々とお伝えしたいことがあります。

Miki Asazuma FGA